センター・オブ・ジ・アースのライドシステム

ディズニーシーの人気アトラクション、センター・オブ・ジ・アース。このアトラクションはかなりの速度が出ているのに、軌道らしきものは地面に溝が一本あるだけです。どういう仕組みでライド(地底走行車)が動いているのか、ライドが浮き上がらない仕組みなどを考えてみます。

なお、これらの情報はあくまで想像の産物であり、正確である保証は一切ありませんのでご注意ください。

軌道の構造がモロ見えしている動画があったので追記しました(2020/01/08)。変更前を確認したい方はGitLabのコミット 75f1c470をご覧ください。

ライドの動力と車体

センター・オブ・ジ・アースは地底走行車というライドに乗って探検にでかけるアトラクションです。 この地底走行車の動力は電気モーターと考えられます。

というのも、VVVFインバータの音がかなり良く聞こえるためです。 特に急加速する際によく聞こえます。

巷では「F1のエンジン並みのモーター」などと言われていることもありますが、エンジンとモーターという異なる機構のパーツを単純に比べることができるのかは疑問です。 とはいえ、かなりの速度が出るライドであることは確かであり、技術的にも素晴らしいものなのでしょう。 高速走行する地底走行車に負けないよう、地面の素材も強度の高い特別なコンクリートを使用しているようです。

地底走行車の製造は三菱製作所が行ったそうですが、VVVFインバータの音はむしろ日立のIGBTに似ているという意見もあります。 音楽やラーバモンスターの唸り声が大きい音なのは、低速走行で目立たないとはいえ屋内で反響するVVVFインバータの音を隠すためでもあります。

また、地底走行車は地面にある溝に沿って走行するため、車輪がそれぞれ独立しており、内輪差が生じないようにカーブでは後輪側を滑らせるかのような動きで曲がります。 プラットフォーム出発後のカーブがわかりやすいでしょう。

以下は同じライドシステムを使用している「ラジエーター・スプリングス・レーサーズ」というアトラクションの動画です。 この動画の 1分 32秒あたり、前の車両のタイヤを見ると普通の車のように固定されておらず、動いていることがわかります。

ライドの位置制御

各ライドにはコンピュータが搭載されており、対物センサの制御や位置制御に利用されているものと思われます。

ただ、各ライドが自身の位置を把握するのに使われているのは Wi-fi や Bluetooth ではなく、従来からあるいわゆる閉塞システムだと思われます。 というのも、後述の通りライドシステムとしてはジェットコースターのそれに近く、ディズニーにはジェットコースターに何台ものライドを同時に走らせるためのノウハウがあるためです。

その方法は、コースをいくつかの区間に分けて各区間には一台のライドしか入れないというもので、鉄道における閉塞と同様のものです。 このシステムはジェットコースターを始め、ボート型ライドなど多くのライドシステムで採用されています。 実際にセンター・オブ・ジ・アースでも、プラットフォーム出発後に、前の地底走行車が特定の区間を通過するまで後続の地底走行車が止まって待つことが多く見受けられます。

軌道

センター・オブ・ジ・アースの軌道断面(想像図)

  1. 地底走行車
  2. 地底走行車に繋がっている台車と、その軌道
  3. 電気を得るための機構

このうち②が重要で、この部分は普通のジェットコースターの軌道と同じ構造になっているため、高速で移動してもコースアウトしない仕組みになっています。

つまり、ジェットコースターの軌道上に板で覆いをして動力源を載せているという構造です。 このうち②の軌道は溶岩洞から一瞬外に出る部分のカーブで見ることが出来ます。

溶岩洞とはマグマが通った跡にできるトンネルのことで、ラーバ・モンスターに遭遇したあとにプロメテウス火山の火口を飛び出した地底走行車が通る部分です。マーメイドラグーン側の一部は橋になっていて、地底走行車は外に一瞬出る形となっています。

電気はいろんなとり方が考えられるのですが、鉄道における第三軌条のような仕組みが図にしたときにわかりやすいかなと思ってこのように描きました。改めて考えると、この図のようなとり方の場合は正極と負極で左右に分けているかもしれませんね。 以下の動画で確認した限りでは、軌道の両端からとっているようです(2020/01/08 追記)。

下の動画は「Test Track」という、センター・オブ・ジアースと同じライドシステムを使ったアトラクションについて、どんな技術を使っているかなどを紹介している動画です。 特に1:15辺りから見ていただくと、ライドの構造がモロ見えしています。

プロメテウス火山周辺の構造

いくらプロメテウス火山が大きいとはいえ、その中を地底走行車が走り回るには少々スペースが足りなさそうな気がしてきますが、ここにもうまいトリックが隠されています。

というのも、プロメテウス火山を実際より大きく見せるために火山自体を高台に設置していて、その底上げした分のスペースをアトラクションなどに使っているのです。

実際に意識しながら歩いていただくとわかるのですが、メディテレーニアンハーバーからプロメテウス火山へ向かっては上り坂になっており、水面と地面の高さの差が全く異なります。 そしてミステリアスアイランドとマーメイドラグーンのアバーブ・ザ・シー・エリアを抜けると、今度はアラビアンコーストやロストリバーの奥のエリアに向けて坂を下って行くのです。

これによってマーメイドラグーンのアンダー・ザ・シー・エリアへ下っていく演出やセンター・オブ・ジ・アースと海底二万マイルといったアトラクションのためのスペースを確保しています。

余談ですが、Google マップでプロメテウス火山周辺の航空写真を見ると、バックステージとそこへ繋がる道路が隠されていることがわかります。

この階層構造は、プロメテウス火山を山としてではなく5〜6階建てのビルとして考えるとわかりやすいかもしれません。

コースレイアウト

アトラクションの高品質な内部設計図を(おそらく想像で)書いてネットにアップされている方がいらっしゃいますので、その画像を引用させていただきます。

tokyo volcanotokyo volcano” by Ed on Flickr.

Tokyo volcano middle levelTokyo volcano middle level” by Ed on Flickr.

tokyo volcano lowertokyo volcano lower” by Ed on Flickr.

これらはあくまで想像図ですが、アップダウンや狭いスペースをギリギリまで有効活用している様子が伺えます。

また、プラットフォーム(乗り場と降り場)はどちらも同じ高さにあり、その高さは溶岩洞と同じ高さですから、かなり高いです。

ゲストはアトラクション入り口からその高さへとテラベーターで移動し、地底走行車で一旦下るわけです。

そしてアップダウンを繰り返しながら移動し、ラーバモンスターと邂逅します。スポンサーラウンジのマジックミラーからラーバモンスターを見ることができることから、ラーバモンスターとの遭遇シーンはスポンサーラウンジと同じ高さでしょう。 実際、ラーバモンスターの場面で進行方向左側の壁にマジックミラーらしきものが埋め込まれています。

スポンサーラウンジはアトラクション出口付近にある扉から入り、エレベータで上がったところにあるそうです。ただ、スポンサーラウンジからプラットフォームへの移動の際に再びエレベータに乗るようですので、高さ的にはそんなに上に位置するわけでもなさそうです。上の図でも低層(lower level)としてまとめられていますね。

車両基地は降り場と乗り場の間に分岐点があり、そこから出し入れしているようです。システム調整になった場合に乗り場から降り場へ歩いて誘導されるのですが、その際に確認できます。

他のアトラクションの見取り図を見たい方は、引用した図の作者である Ed Film さんの Flickr アルバムDisney Park Blueprints というサイトを訪問すると幸せになれます。

まとめ

このライドシステムはテスト・トラックというアトラクションで登場し、その後はセンター・オブ・ジ・アースやラジエーター・スプリングス・レーサーズといった、低速と高速の両方で速度を制御して移動する必要があるアトラクションで使用されてきました。

センター・オブ・ジ・アースの素晴らしいところは、その「動力が車両に付いている」という利点を活かして上りの方が早いという特徴をもたせたことです。 急発進できるこのライドシステムならではの驚きを与えてくれるアトラクションだと思います。

なおインディ・ジョーンズ・アドベンチャーで使われているシステムも地面に溝がありますが、このライドシステムとはまた少し違いますので後日詳しく書きたいと思います。